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特許出願前にしてはいけないこと

公開日:2022年08月16日

 

 

皆さんこんにちは、弁理士の小林です。

今日は「特許出願前にしてはいけないこと」というテーマについてお話します。

 

特許を取得するためには、特許庁で行われる審査にパスする必要があります。実は、新製品開発後によく行われるある行動によって、審査をパスできなくなることがあるのです。特許出願をご検討の方はぜひ参考にしてください。

 

1.特許出願前にしてはいけないこと

 

新製品が完成すると、自社のHPやカタログに載せたりしますよね。プレスリリースを出したり、新聞やTV取材などを受けることがあるかもしれません。最近では、自社の管理するSNSなどで公表する機会もあるかもしれませんね。できるだけ早く製品を売り出したい、多くの人に知ってもらいたいというのは、会社としては当然でしょう。しかし、このような公表行為は、特許を取得する上では弊害になることがあるのです。

 

前述の通り、特許を取得するためには特許庁での審査をパスする必要があります。審査項目の一つとして、「発明が新しいこと」という項目があります。いわゆる「新規性」と呼ばれるものです。既に世の中にあるものに独占権(特許権)を与えても、産業発達には寄与しません。むしろ産業の発達を阻害することになるでしょう。特許法の目的の一つは産業発展に寄与することがありますので、これに反することになってしまいます。このため、特許取得の条件として、「新規性」が求められています。

 

新規性は、自ら公表した場合であっても喪失してしまいます。例えば、自社HP上に新商品として公表した場合や新製品についてプレスリリースをした場合、展示会に出展した場合なども、発明の新しさが認められなくなるのです。特許出願前に特許を取得したい発明を公表することは避けましょう。自分で公表した場合は問題ないと考えている方も多いようですが、自ら公表した場合であっても新規性が失われてしまうことは覚えておきましょう。

 

2.特許出願前に公表してしまった場合の救済措置

 

とはいえ、実際には特許出願前に公表せざるを得ないこともありますよね。この場合に、権利取得の道が全くないのでは困ってしまいます。このため、特許法には、このような場合でも権利取得できるように、救済規定が設けられています。これが「新規性喪失の例外」と言われるものです。この救済措置を受けることで、発明を公表しなかったことにしてもらうことができます。

 

救済措置を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。

 

①救済措置の適用を受けたい旨を記載する

②公開から1年以内に特許出願をする

③特許出願後30日以内に証明書を提出する

 

①は願書に記載します。

②の1年は公開日を基準に考えます。公開行為が複数回ある場合、最初の公開から1年以内に特許出願をする必要があるので、注意が必要です。

③の証明書は公開行為ごとに作成する必要があります。公開行為が多い場合には、証明書の作成に非常に手間がかかりますので、早めに整理しておくことが重要です。

 

弁理士に特許出願を依頼する場合、救済規定の適用を受けるための手続きにも対応もしてくれます。ただし、出願書類の作成とは別に、証明書などの作成が必要となるため、出願書類の作成費用とは別に、証明書の作成費用等が請求されることがあります。公開行為が多いとその分だけ証明書の数が多くなり、それだけ請求額が高くなる可能性がありますので、費用の面からも、出願前の公表は極力避けた方が良いでしょう。

 

なお、公表済みの発明について弁理士に特許出願を依頼する場合は、必ず、その旨を事前に弁理士に伝えるようにしましょう。公表済みであることを伝えておかなければ、救済措置を受けるための手続きを行うことができませんので。

 

3.まとめ

 

いかがでしたか。特許出願前にしてはいけないことを理解いただけましたか。今回のお話を一言でまとめると、「出願前の公表は極力避けましょう」ということ。「公表は特許出願後」ということですね。

 

ちなみに、弁理士に特許出願を依頼すると準備期間に1ヶ月程度はかかります。依頼をしてもすぐに着手できるとは限りませんので、2ヶ月以上かかることもあるでしょう。特許出願が完了するまでには2ヶ月はかかると考え、新製品の開発を行う際には早め早めに弁理士に相談をするよう心がけましょう。

 

 

本ブログでは、今後も、知財制度について情報をアップしていきます。知財制度の理解を深め、ビジネスにしっかり活用していきましょう!!

 

 

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