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特許・実用新案・意匠・商標 何がどう違う?

公開日:2023年06月02日

 

 

皆さんこんにちは。弁理士の小林です。

 

知的財産のうち、「特許権」「実用新案権」「意匠権」「商標権」のことを「産業財産権」と言います。言葉は聞いたことあるけれど、これらの違いをしっかりと理解できていない方もいるのではないでしょうか。今日は、これらの違いについてお話します。違いがよくわからない方は、是非参考にしてください。

 

 

下の表は「産業財産権」の特徴を簡単にまとめたものです。この表を見ながら、各権利の違いについて説明します。

 

1.特許の特徴

まずは「特許」について。

特許の保護対象は「発明」です。発明というのは「技術的なアイディア」のことです。上の表には書いていませんが、「発明」は大きく「物の発明」と「方法の発明」に分けられ、「方法の発明」は、物の生産を伴う「生産方法の発明」と、物の生産を伴わない「単純方法の発明」に分けることができます。

 

特許権の存続期間は出願から20年です。ここでいう「出願から20年」というのは権利が満了する日(終期)のことで、存続期間が始まるのは登録日です。通常、出願から登録までには数か月から数年かかるため、実際の保護期間は20年よりも短くなります。

 

特許権は出願手続きをしただけで得られるものではありません。特許権を取得するためには特許庁での審査にパスする必要があります。この点は、次にお話する実用新案と異なる点です。

 

2.実用新案の特徴

次は「実用新案」について。

実用新案の保護対象は「考案」です。考案というのは、発明と同様「技術的なアイディア」のことです。ただし、特許と異なり、実用新案で保護されるのは物品の形状、構造、組合せで、方法は保護対象には含まれません。

 

実用新案権の存続期間は出願から10年です。特許権の場合と同様、「出願から10年」というのは権利が満了する日(終期)のことで、存続期間が始まるのは登録日です。

 

実用新案の特徴の一つは、特許庁での審査がないということです。審査せずに登録され、権利が発生することになります。審査をしないので、既に同じ考案が登録されていたとしても登録されてしまいます。その意味で、特許ほど信頼度は高くありません。

 

3.意匠の特徴

次は「意匠」について。

意匠の保護対象は「デザイン」です。商品デザインのほか、令和元年の意匠法改正によって、画像や建築物、内装等も保護されるようになりました。

 

意匠権の存続期間は出願から25年です。特許権や実用新案権よりも存続期間が長く、うまく活用できれば、特許権よりも長い期間保護されます。意匠には、特許や実用新案などにはない、特有の制度が設けられています。意匠特有の制度については、また別の機会にご紹介します。

 

4.商標の特徴

最後は「商標」について。

商標の保護対象は「ブランド」です。商標権を取得することで、自社製品やサービス、ひいては自社の信用を守る土壌を作ることができます。

 

商標権の存続期間は登録から10年です。商標権の存続期間は10年とされていますが、商標は使えば使うほど信用が蓄積し、その価値が高くなっていくため、10年ごとに更新できるようになっています。他の産業財産権と異なり、商標権は半永久的に権利を維持できるという特徴があります。

 

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?産業財産権の違いについてご理解いただけましたか?各権利の違いを理解しておくことで、自社のビジネスを守るために必要なのはどの権利なのかを判断できるようになると思います。権利は一つの商品につき一つということはなく、一つの商品の技術的アイディアは特許で、デザインは意匠で、商品名は商標でというように、複数の権利で他面的な保護を図ることができます。今回は、各権利の違いを簡単にご説明しただけでしたが、もう少しイメージしてもらいやすいように、次回以降で各権利の登録例をご紹介しようと考えています。ご興味のある方は、是非ご覧ください。

 

本ブログでは、今後も、知財制度について情報をアップしていきます。知財制度の理解を深め、ビジネスにしっかり活用していきましょう!!

 

 

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